「切り返し」という技【その1】

     

2種類以上の生地を縫い合わせてカーテンを作る、いわゆるデコレーションの手法の一つなのですが、「切り返し」なんて呼ばれています。

十数年前は、ボクと大阪の大先輩のヒデキさんくらいしか、あまりやっていなかったのですが、今ではだいぶ一般的になってきました。

  

今回はその中でも一番簡単な形、カーテンの「横切り返し」を紹介します。

    

先ずは上の写真をご覧ください。そもそもカーテンは140cm前後の巾の生地を縫い合わせて作っていきます。正面の大きな窓は、137cm巾の生地を4枚縫い合わせて作っているのですが、その4巾の内、1巾だけをグリーンにして、残りをグレーで作っているので、(色を)切り返しても切り返さなくても使う生地の量は同じ。その1巾のグリーンを半分にして左右の端に持ってきているだけです。

  

それと同様に左のシェードも同じ要領で、グレーの生地1巾で足りない分をグリーンで補い、デザイン性を考えて片側にジョイントしただけ。

  

このやり方なら、単色で作る場合とコストはほとんど変わらないので、先ずはこれが基本になります。

   

上の例は、装飾の為だけに色を足している例。「挿し色」として、アクセントをつけています。こうやって片側だけに入れると、少し「外した」感じになるので、左右にバランスよく入れるより「グルーヴ感」が生まれて個人的には好みではあります。

   

上の写真の様に大きな窓の場合、全体に色(有彩色)を入れるとくどいけど、グレーだけだとノッペリと単調すぎてつまらないな~、っていう時はこうやって少し内側に差し込んで間延びを防いだりします。

    

その応用としていろいろあるのですが・・・

  

端っこにストライプを横向きに付けて、反対側のボトムにもちょこっと足してみたり・・・、

   

こうやって複数の柄を組み合わせ、ストライプの向きを変えたりしたり。これもまた、デザインするボクの感覚からすると「グルーヴ感」なんですね。

ボクの感覚では、普通の生地を単体で普通に仕立てるのを音楽に例えると、「童謡」みたいな感じで、こうやって外していく事は「グルーヴ感」なんです。例えるなら、久保田利伸って感じかな?

  

余計わかりづらい?いーのいーの、あくまでボクの感覚だから(笑)。

   

他のバリエーションとしては、

  

シェードの左右にジョイントした無地をカーテンに使い、色違い3色で動きをつけて変則的な割合で切り返し。

   

もっとやっていくと・・・、

  

4色使ってバラバラに組み合わせたりもできます。

   

ちなみに、生地の無駄が出ないようにしたりとか、色の組み合わせだとか、いろいろな事を考慮しながらデザインしなければならないので、その辺りは普通のカーテンしか作っていないカーテン屋さんでは上手くできないので、注意が必要です。

    

まあでも、「切り返し」は無限のデザインの可能性があるので、めちゃくちゃ奥が深いし楽しいものです。

  

今回は最もベーシックな、カーテンの「横切り返し」を紹介しましたが、次回以降にその他のバリエーションを紹介しますね。

     

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