【第8話】ナポリを見てから死ね-その3

  

以前に本で読んだ事があるポンペイ。いつか行ってみたいな~、ってずっと思っていたのだけど、2年前にヒデキさんに、

「今年はハイムの後、ナポリに行きません?」

って打診したのだけど、結局直前(フランクフルトにいる時)に、

「ナポリは来週、ずっと雨みたいだからやめよう!イタリアだったら、まだフィレンツェはましみたいだからフィレンツェにしようぜ!」

ってなって却下。まあ、フィレンツェはそれはそれですごく楽しかったのだけど・・・。

  

、何はともあれずっと行ってみたかったポンペイ、ようやく行けました。今日にするか明日にするかは天気と気分で考えようと思っていたのだけど。

   

先ずは歩いて15分くらいでナポリ中央駅へ。周りの雑多な汚さと荒々しさとは別世界のモダンな駅。パリのノード駅やフランクフルト中央駅よりよっぽどシュッとしてるのが意外。

   

ポンペイには「ヴェスーヴィオ周遊鉄道」っていうのに乗らなければならないのだけど、広大な駅でもちゃんと案内が出ていて、それに従えば迷うことなくたどり着けました。(ものすごく歩くけど)

ちなみにこの写真の一番上のサインがそれで、これで「チェルクムヴェスヴィアーナ」って読みます。

  

窓口で往復のチケットを買い、これまたこ汚い電車に乗って約45分

  

「ポンペイ スカーヴィ駅」に到着。ポンペイと名前が付いている駅はいくつかあるし、放送も無いから手にした路線図と駅の看板を照らし合わせながら降りるタイミングをはかる、みたいな感じ。思ったより皆がここで降りるわけでは無いので、うっかり乗り過ごす人も多いと思う。で、すごくローカルな駅。

   

入り口で€16払い、いざ入場!

チケット売り場で、どっちに行ったら良いかわからないから聞いたら、無料のガイドマップがあっちにあるから、それ持っていきな!って教えてくれました。

 

で、入ったら、ひたすらこんな風景がどこまでも続きます。

  

しばらく行くと、「フォロ」っていう広場に出るのだけど、この向こうに見えるのがヴェスーヴィオ山。あれが噴火して一瞬でこの街が埋まっちゃったなんて、ここにいても全く想像がつきません。

気候のせいもあるんでしょうね、空が広くて、ただただ気持ちがいい!

  

紀元前の頃から今とそれほど変わらない位の文化が発展していたというポンペイ。そりゃ凄いな~という所から興味を持ったのだけど、こちらはテルモポリオ(居酒屋)。

  

でもってこちらがテルマエ(公衆浴場)。

他にもクリーニング屋とか、劇場とか、風俗とか。今の街にあるものがこの時代に揃っちゃっているっていうのがすごいし、それがたまたま噴火によって一瞬で埋まっちゃったものだから、きれいに残っているのも奇跡。

  

これはもちろんレプリカなんだけど、こういう風に一瞬で飲み込まれてしまった人の遺体もそのまま残っているのも、この噴火のすさまじさを物語ってます。

  

ほとんどの建物は、屋根が損傷してなくなっているのだけど、テルマエなどの一部屋根が残っている建物は、内装の装飾もすごいのがあります。

  

こんなの、紀元前から西暦79年の間にやっちゃうんですよ、すごくないですか?

昔、アルフレックス・ジャパンの創業者、保科会長が仰ってました。

「いつか欧米のインテリアの文化に追いついてやろうと思って頑張っていたけど、全然追いつけないの。創業当時に思い描いたよりも、日本のインテリア文化の進化のスピードは、はるかに遅かった。いまだに地方に行ったらこたつやちゃぶ台で生活してたりね。でもね、ポンペイを見て思ったの。そんな時代からインテリアの文化がちゃんとあって、そこから2000年以上積みあがって今がある。そりゃ、そう簡単に追いつこうなんて考える方が無理なのかもね」って。

その言葉が、ここに来てみてよくわかりました。

   

インテリアって、「文化」とか「文化レベル」にものすごく影響を受ける産業なんですよ。特にトレンドを長い間(と言っても15年程度ですが)リサーチしていると、インテリアと文化レベルの相関関係っていうのが、いやでも見えてきちゃうの。その辺りの話は長くなるから、いつか別の機会にブログで書くことにします。

  

でもやっぱり、いわゆる「ヨーロッパの文化」と言えばやっぱり原点はポンペイなんだろうな~、一度見ておかないとな~、っていう事で来たのだけど、来ておいて本当に良かった。自分が今やっているインテリアデザインの原点を見た気がするし、ここから積み上がった文化のヨーロッパを相手にしているという事が実感できたし。

   

そうそう、「天気が悪いからフィレンツェにしよう」って言ったヒデキさんは既に来ているそうです。

なんだよ~、自分はちゃんと見てんじゃん!(笑)  

  

はい、これでヨーロッパにもヒデキさんにも一歩近づきました(笑)

   

それはそうと、今日の朝食は軽く食べておいて、昼は抜いてダイエットしつつ、夜は豪勢に友人に教えてもらったレストランで食べよう!なんて計画していたのだけど、飲み物を持っていかなかったのが間違いの始まりで・・・。

  

そりゃ遺跡の中に自販機なんて無いですよね。それでただただこんな景色の中、3時間も4時間も歩き続ける訳ですよ。そりゃ喉も乾きますって。

そしたらその後、今度はお腹が強烈に減ってきちゃう。

仕方ない、遺跡を出たら近くで軽く何かつまもう。っていう事で・・・

   

ピザでもパスタでもなく、軽くしようと思ってあえてサンドイッチ的なものを頼んだのだけど、来てみたらこんな感じでして。

写真だとスケール感が伝わらないかもしれないけど、普通の食パンが3枚重なっていて、間にプロシュートとかチーズやトマトが挟まっていて、もの凄いボリューム。

お腹いっぱいですよ、14:30なのに。

    

という事で、今夜のディナーはお預け。部屋に帰ってビールと乾きものだけにしておきます。

   

お休みなさい!