時代は「ラグジュアリー・トロピカル」

ボタニカルな輸入壁紙

    

ヨーロッパのインテリアデザインのトレンドを専門的にリサーチするようになってから、約15年が経ちます。
よく色々な人から、「今年のトレンドはどうなの?」って良く聞かれるのだけど、とてもじゃないけど一言で表せるものではないんですよ~。昔と違ってトレンドが細分化されているからなのだけど、細分化に関しては2008年位が一つの分岐点になっている様に思います。
その辺りの詳しいお話は、また別の機会にしますね。

   

そうは言っても、やっぱり今を象徴するデザインというのはちゃんとあって、その一つが「トロピカル/ボタニカル」。草花がごちゃっと詰め込まれたようなデザインで、特に南国系の草花が多く使われています。

   

ハイムテキスタイル2020(フランクフルトの展示会)より

トロピカルと言っても、カジュアルな要素はあまり無くて、あくまでもラグジュアリーに使うのが今のトロピカル。なので、ベースカラーは濃いめが中心です。

   

この流れは2016年頃から出始めて、2018年からドカーンとトレンドの中心に躍り出た感じです。その大元になったのが、2018年にフランクフルトの展示会で発表されたトレンド展示。それが・・・、

   

ハイムテキスタイル2018(フランクフルトの展示会)より

「URBAN OASIS」という思想。コッテリとジットリと、爽やかさなんて微塵も無いくらいなディープトーンとゴールドが組み合わされて、むせ返るほどのゴージャスな感じ。
これは展示会のディスプレイなので、一般家庭ではここまでコッテリしちゃうとさすがに使いづらいけど、方向性としてはやっぱりこんな感じなんですね。

   

こういったインパクトのあるデザイントレンドは短命な事が多いのだけど、これに関しては息が長くて、今もしっかり続いてます。

  

カサマンスのカーテン
CASAMANCE(フランス)2020年

今年は更にラグジュアリー感が増したものが多くて、刺繍やジャカード織りの物が多く見られました。上の写真も刺繍です。

   

フィスバ
クリスチャンフィッシュバッハ(スイス)2020年

それともう一つ双璧を成しているのが、少しあっさり目にサラッとした感じのトロピカルデザイン。でもベースはやっぱりラグジュアリーなんですね~。

    

輸入カーテン
ハイムテキスタイル2020(フランクフルトの展示会)より

こんな感じでサラッとしていて、それでいてラグジュアリーという感じも今年の特徴です。

   

この「ラグジュアリー・トロピカル」は、ここまで長くトレンドが続いていると、

     

完全に今の時代を象徴する柄になっていると言えます。

   

古くはアールヌーボーやアールデコ、ミッドセンチュリーなど、数々の時代を象徴するデザインがあったけど、テキスタイルデザインにおいてはそれらに迫る位、今を象徴する強烈なトレンドなんです。

   

日本の一般家庭では、あまりコッテリしたデザインだと使いづらいと思うので、それを少し使いやすくした「ちょうど良さ」が求められるのだけど、実際に一般家庭に納めさせて頂いた事例は、また次回以降ご紹介しまーす。

     

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