世界を震撼させているウイルスの影響で、おそらく世界的な大恐慌は免れない事が予想されます。外出もしにくいし、先行きも不安だし、テレビをつけても暗いニュースばかり。
今回は、「それでもね、悪い事ばかりじゃないんですよ」という話です。
これは設計事務所みかんぐみの共同主宰の建築家で、神奈川大学の教授でもあり、仕事でもお世話になっている曽我部昌史先生が著書で書かれているのだけど・・・、
歴史的に人口の減少期、経済が下り坂の時代にクリエイティビティが生まれている
という現実があるそうです。
日本では過去、4回の大幅な人口減少のフェーズがあって、
1度目は旧石器時代
2度目は縄文時代後期
3度目は平安時代
4度目は江戸時代後期
そして今は5度目になります。
3度目の平安時代には国風文化と呼ばれる文化が発展し、平等院が建造されたり、宮中の女性は十二単を着たりしていて、4度目の江戸時代後期には町人による化政文化が発展し、錦絵や見世物小屋、歌舞伎などが大衆化しました。
現代をみてみましょう。
直近の人口増加のフェーズは、戦後から2008年まで。その間はとにかく大量生産、大量消費の時代で、皆が必死に働き必死に子育てをしていた時代で、自分らしさって何だ?なんて考える余裕も無かった。
その一方、その後の人口減少のフェーズでは、経済的な先行き不安で生活レベルの向上が見込めないけど時間的には豊かになりました。そこからが個性の時代、自分らしさの時代になって、志向も多様化しました。
これはつまり、わかりやすく言うと、せめて自分らしさ位出さないとやってられないんですね。
物質的に豊かにはなりにくいからこそ、それに代わる様々なクリエイティビティが生まれるんです。
一つ例を挙げますね。
今年1月のパリの展示会に出展されていた、友人でもある坂田夏水ちゃん率いる夏水組が展示していたのは・・・、
古い着物の帯をクッションにリメイクして作られた一点物のプレミアムクッション。帯は織物としてはめちゃくちゃクオリティが高くて、新しく作ろうと思うとコストがとんでもなくなっちゃう。それと見方を変えて資源としてとらえると、ある種のサスティナビリティでもあります。
昨今の東洋デザインを取り入れるトレンドもあって、そりゃもうヨーロッパでもこれは大人気ですよ。日本でもホテルなどで既に採用されています。
この例なんかは、物凄く今の時代に合ったクリエイティビティだな~って思っちゃうんですよ。
大量生産、大量消費でいけいけドンドンの時代には、なかなかこんな発想にはならないし。
インテリアデザインだけに絞って言えば、こういう時代だからこそ常識の殻を破って思い切ったデザインに挑戦してみたりするのも面白いと思うし、実際にそういう人が増えている様に思います。
上の写真は極端な例だとしても、ありきたりから少し離れてみると、違った景色が見えますよ。
西洋のインテリアに東洋の仏像を合わせる、っていうのは一般的になったから、アフリカの木製の彫刻なんかも良く使われる様になったのだけど、更に一歩進めて「モアイ像」を置いてみるのも面白いかも?
これはまぁ、軽いユーモアを入れるってヤツですよ。
ちなみに、一番初めの写真も今年のメゾン・エ・オブジェ(パリ)のセレッティというイタリアの雑貨ブランドのブースなのだけど、全てが逆さまに作られた部屋なんです。完全に“映え”を狙っているのだけど、「これ位遊んじゃえよ!」っていうメッセージが聞こえてきそうでもあります。
何はともあれ、こういう時代だからこそ何か面白いモノが生まれる!っていう事に期待したいし、自分も生み出したいし、皆さんにも新しいデザインとかに挑戦してほしいと思います。
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